2012年5月28日月曜日

3週間

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ルーマニアでの生活も残り3週間です。
あっという間だったような、長かったような。
はっきりしてることはダンサーとして踊れる時間は有限です。
この国で過ごした2年間、後で振り返って本当に良い経験だったって心底思えるように、辛いって思う時こそ踏ん張って最後まで頑張らないといけません。
ここでしか経験できないこと、善悪含めてたくさんあるけど、それも残り3週間・・・やっぱりそう思うと寂しいですが、ここでの経験があるから次にいける。感謝して残り3つの舞台も頑張ります。。

私にとっての最後の舞台、ジゼルのリハーサルが始まりました。
本来このバレエ団では主役のリハーサルは早くても2週間前からだけど、今回は特別に頼んで早くからリハーサルを入れてもらいました。と言っても3週間前、私からすれば全然足りないのですが・・。

リハーサルを担当するミストレスはものすごく厳しい先生です。
つま先、顔、首、指、、とにかく全身の角度をミリ単位で直すので、その先生がリハーサルを担当すると知っていい顔をするダンサーは少ないです。。
あまりにもNoNoNoの連発で、しかもちょっと傷つくんじゃないかな?って躊躇するようなことでも、包み隠さずハッキリと言われます。
ここのダンサーはみんなものすごく強いですが、それでもその先生とリハーサルすると自分に自信がなくなったり、悔しくて泣き出してしまう人もいます。
多分、道徳教育が進んだ国では、学校やバレエ教室で先生がそのような指導方法をとると、問題になると思います。

でも、私はあえてその先生がいい。と指名しました。今までドンキのキューピッドや、バヤデールの影などを指導してきてもらい、一番舞台上で成果を感じたからです。

その先生に出会った最初のころは、事細かに注意を受けて、本当はありがたいはずなのに、あまりにもダメなところをたくさん言われすぎて、舞台前に追い込まれた気持ちになってしまいました。

私も、その先生とのリハーサルが嫌って思うようになり、その時間が憂鬱に感じるようになりました。
でも、他の先生とリハーサルをしているとき、毎朝のレッスンをしているとき、頭に浮かぶのはその先生の注意がほとんどでした。


私が、憂鬱。とか嫌。と感じている間にも、その先生の注意から自分はいろんなことを学んでいた。と思うと、なんてもったいないことをしたんだ。って思います。

どんなことを言われてもその先生からできるだけのことを吸収しようと思ってリハーサルに出ていたら、きっとそれ以上の成果を得ることが出来たからです。

相手も状況も自分の受け取り方次第でどうにでもなるのに、嫌と思うことをを言われて、本来の目的が見えなくなっていました。
今回は、絶対に同じことは起こさない。リベンジのつもりで本番までの3週間はやっていこうと思います。



2012年5月21日月曜日

面白い体験

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ルーマニアに来て初めて知ったことは、この国はアンチエイジングの国として有名だということです。日本にも、ルーマニアからの輸入化粧品が入っていて、その高価さはこっちの値段の10倍以上で驚きました。それほど効果がある。ってことなんでしょうが・・


そしてもう一つ、この国で有名なものは体操です。

先日、ブカレストにある大きなコンサートホールであるアルゼンチンのミュージックバンドのコンサートで曲に合わせて踊ってほしいと知り合いに頼まれて出演してきました。

普段私が踊っている舞台は客席数やく1100ぐらいなのですがそれの2倍以上もある大きなホールでのライブでした。
最初お話をいただいたときは一人で、バレエダンサーとして踊るのかと思っていたのですが、リハーサルに行くと、「体操選手と共演してほしい」と予想外の提案。 

バレエと体操とどうやってコラボするのかさっぱり見当もつきませんでしたが、きっとこんな経験は人生で最初で最後であろうと思い、やらせてもらうことになりました。

天井から吊り下げられている2本のシルクを使って演技を行うもので、共演者の選手が回転したりポーズを決めながら滑らかに地上高くまで登っていく姿は、初めて間近で観ると圧倒されました。

私も支えてもらい一緒に上がる場面もあったのですが、上がりきると軽く5メートル以上にはなるので高所恐怖症じゃなくてよかったです・・。上海雑技団に入団した気分を味わえました。
ほんと、なかなか出来ない面白い体験でした。

今回パートナーだった男の人から体操界のお話や現状を聞くこともできました。ルーマニアの選手達は国が選手たちを十分にサポートしきれないので、生活の安定を求めてカナダやアメリカに行ってしまうそう。日本のバレエ界と似たところがあると感じました。違う世界の人と知り合いになれる良い機会でもありました。
























2012年5月14日月曜日

現状維持

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ドンキやバヤデールが終わって先週1週間は、私にとってお休みWeekでした。

昨日は「バレエガラ」があり、先週は、朝も夜もガラコンサートの準備。 ガラに出演しない人は朝10時からの基礎レッスンしかありません。
言ってしまえば、リハーサルがないからウォームアップする必要がないので、朝の基礎レッスンさえ自分の意志で受けるか受けないか決めれるのです・・・。

本来他のバレエ団ならば契約書の一文に、「月数日以上の怪我や病気など避けることのできない休み以外は、基礎レッスンに全員参加すること。」というような内容の項目があるのですが、うちのバレエ団は普段あまりにもハードなので、そこは誰しも目をつぶっているようで、疲れすぎている場合基礎レッスンに現れなくても誰も何も言いません。 要は、本番の舞台をベストなコンディションで努めれるのなら、その辺りは自己責任で・・って感じです。

なので私も数日間は完全に休ませてもらいました。

でも、怖いのは休み明け。 たった2,3日いつもやってることから離れているだけで、普段があまりにもハードなので、戻りたくなくなってしまうんです。
先週の自分よくやってたな・・とか思ってしまったり。。。

重い腰を上げてレッスンに参加するものの、心は腑抜け状態・・。炎症止めの薬を飲みながら立て続けに舞台。。の日々から急に完全オフだったので、身体もビックリしたのか言うことを聞きません。あらためていつもやってたことはすごく精神力のいることだったんだと気づきます。

一度怠けモードがONになってしまうと、元に戻すのは相当大変。
でも、この仕事をやってる以上、人生の大半はバレエに関わっているわけだから、いつも適当にやって、舞台後に泣く。を繰り返すわけにはいかないし・・なんとかいつものモードに戻さないといけません。

「もっと上を目指したい」と思って結果的に現状維持したり、努力が実ってレベルアップできることはあります。
でも、「自分はこれでいいから、今の状態を維持しよう。」と思って踊っていると必ずと言っていいほどゆっくり、時間をかけて落ちていきます。  

本当に本当に厳しい世界・・。って言っても、どの道でも一緒ですよね・・

2012年5月7日月曜日

最後のバヤデール

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先週は引き続きセカンドキャストのプリンシパルでのドンキホーテがありました。 一番気がかりだった音楽のテンポも本番2回目になり、かなり踊りやすくなりました。







昨日は、今シーズン最後のバヤデールでした。

昨日主演したのは、初役、初主演のソリストでした。
本来は毎回、ニキヤ(主演)を演じているプリマがキャストされてたのですが、本番4日前に足を痛めて降板。ディレクターが若手の出演可能なソリストに急いで聞いて回ったのですが、みんな答えは「リハーサル3回では無理」とNo。パドドゥを一つやるというわけではなく、全幕の主演なのだから当然だと思います。

でも、そのソリストの彼女だけはYesと答えました。
彼女は過去にここの舞台で数多くのソロは踊ってきてるのですが、全幕での主演は初めてです。
それなのに、初役、初主演でたった3日のリハーサルというプレッシャーはものすごいものだったと思います。

みんなが絶対難しい、そんな無謀なこと引き受けるべきではない。と思っていました。

でも、昨日の本番ではノーミス、プラスして表現までも感動的で、何度もその役を経験しているプリマのように堂々とした演技でした。

彼女は今年で30歳、今までソロはたくさん踊ってきたのですが、主役をする機会は今までにありませんでした。
「これは私のキャリア、後悔がないように、どんなチャンスでも、たとえそれが理不尽な条件下でのデビューでも私はやる」と言っていたそうです。
私が同じ立場だったら同じことが言えたかと考えると、頭が下がります。

実際に彼女はこの主役デビューで成功し、次のシーズンからはバヤデールでは主役候補のリストに常に上がることになります。

普段から、どんな条件の話が来たときにでも自分のチャンスに変えられるだけの努力をしてたかってことだと思います。

本当に素晴らしかったです。