二十歳の時に2か月間ドイツのバレエ団をオーディション回りしたときのことです。
あるバレエ団のプライベートオーディションの約束をとりつけました。バレエ団のメンバーの日課である朝のクラスに参加させてもらい、そこに芸術監督が見に来て、審査されるというものです。
緊張して1時間半前に劇場に着いてしまい、マネージャーに誰もいないスタジオに案内されました。
今日はどんな日になるんだろう・・って思いながらウォームアップをしていると、団員の一人が入ってきました。
その子はドイツ人の男の子で入団2年目だそう。すごく気さくな人でバレエ団のことをいろいろ教えてくれて緊張もほぐれました。
私が思うには、オーディションで過度に緊張したり気持ちのコントロールが苦手なタイプの人は、クラス前に一人淡々とストレッチしたり精神統一したりするよりも、新しい人としゃべってみるのがいいかもしれません・・。
初めて話す人となら、自分も無理やりテンションを上げないといけないので、それが後のクラスで功を奏することもあると思います。。
私はその日、そのドイツ人の男の子のおかげでバレエ団に溶け込めた気になり、集中して最後まで踊ることができました。。
自力でバレエ団と交渉して取り付けたプライベートオーディションで、いつもの自分を出すことが出来たというのが、すごく嬉しくて達成感に浸っていました。
でも、それで上手くいつも通りの自分が出せたからと言って、すぐ結果に現れるわけではないのが、厳しいところ・・・。
その直後、審査をしてくださった芸術監督に言われた言葉は忘れられません。
「君は、何歳なの?ちゃんと食べてる?僕のバレエ団の女性ダンサーを見てごらん、みんなちゃんと胸もお尻もあって女らしいでしょ?きみは子供のようで魅力がないよ、うちに入っても赤ちゃん役にしか使えないよ。」
グサッときた瞬間でした。
確かに・・・そのバレエ団のダンサーはみんな本当に女らしいスタイルで本当に魅力的でした。
コンプレックスを突かれたすごく苦い経験でしたが、「ここは私には合わなかった」と割り切りその後もオーディション周りを続けました。
多くはないですがこの1人旅で学んだことがあります。
やっぱり日本人が本拠地の人間に代わりヨーロッパで仕事を取ろうとなると、それはすごく大変なことです。
そこで、何が雇用主を、国境を跳ね除けて雇いたい気持ちにさせるのかと言うと、それは、
自信を持ってイキイキと踊っている瞬間を見たときだと思います。
それには、自分はこれだけは誰にも負けない!というものを一つだけでいいから持つことだと思います。
自分の得意分野を知って、それをどんな人の前でも自信を持って出せるようになれば、見る側にも魅力的に映り、数ある候補者の中で印象に残るのかもしれません。
前述したとおり、細すぎる、背が低すぎる、高すぎるとか、どうにもできない要因で選ばれないことももちろんありますが・・・。
って言うのは簡単なのですよね、、これは未だに私の課題です・・・。
my favorite word, everything happens for the best..