2012年4月30日月曜日

ドンキホーテの再演

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昨日はバレエ団が今年一番力を入れる作品、ドンキホーテの再演の初日でした。 先週は毎日、ステージで衣装、オーケストラ付きでリハーサル。こんなに本番前に準備を万全にして舞台を迎えた作品は今までにありませんでした。やっぱりどの国でも初日の舞台はちょっと特別みたいで、客席も立ち見のお客さんもたくさんいらっしゃり、いつもよりも拍手などリアクションも多く、盛り上がりました。


先週の舞台リハーサルでは予想外の問題が発生しました。

音楽です。

今までスタジオではCDでリハーサルしていたので、全く問題はなかったのですが、バレエには踊りやすいテンポと踊ることが不可能なテンポがあります。 今回初日に立つ指揮者は、いつもバレエ作品を指揮する指揮者とは違う方でした。

バレエ用のテンポに不慣れなその指揮者は毎日スタジオでのリハーサルを見学しに来られていたのですが、それでもやっぱり今まで慣れた音楽鑑賞用のテンポとバレエ用のテンポでは全く違い過ぎて、舞台リハーサルはめちゃくちゃでした。

バレエ作品を指揮したことがない指揮者にとっては、ダンサーがジャンプしたと同時に音楽。と言うキッカケや、ポーズと同時にこの音。というような注文を約2時間半の作品ですべて守ることは容易いことではないのです。
実際に、アンサンブルの女の子たちが舞台に出て言ってポーズする前に音を出してしまったり、一番の見せ場の主役のグランパドドゥで決めのポーズで音がずれたり、と散々でした。

これでは今までやってきたことが・・・と出演者だけでなくリハーサルを担当しているミストレスやマスター、監督の顔にまで不安と苛立ちの表情。
結局、先週は朝、夜。朝、夜。と本番通り毎日2回公演のような形で勤務時間外もオーケストラと共にリハーサル。



















































バレエ団だけでなくオーケストラのメンバーにとっても大変な1週間でしたが、昨日の本番は音楽のミスもなく大成功といっても良いぐらい観客から良い反応をいもらえました。 今週は昨日に続いて、キャスト2の主役でのドンキホーテ2日目と今シーズン最後のバヤデールです。

2012年4月23日月曜日

近況報告と気になること

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ちょっと日記を書いていないと思えば、もう1か月も経っていました。 この4週間でいろんなことがありました。本当に、20代後半になってこんなに濃い毎日を過ごせるのは、こんな仕事をしているからでしょうか。 楽しいと思えば、楽しい。辛いと思えばホームシックになります。

3月はたくさんの怪我人のため、残っている者は激務でした。その後1週間の休みをもらいアメリカへ行きました。 4月にもまだまだ舞台はあり、ダンサー不足の状況は変わっていなかったので、1週間も空けるのは心苦しかったですが、、2か月前からの楽しみだったので・・・行かせてもらいました。




この休みのおかげで理想のカンパニーとも出会えることができ体験してくることもできました。

しかし、アメリカ滞在中にONBの同僚から連絡が・・4月8日のジゼルの主役が怪我で踊れなくなったので、早めに戻ってきて踊れるか監督が聞いてる。と言うのです・・私がブカレストに戻るのは4月6日、リハーサルに参加できるのは7日からなので、どう考えても間に合いません・・。

でも、このシーズン、本拠地で一度も主演していなかった私にとっては、それは帰りの航空券を有料で変更してでも、時差ボケで寝不足でも、何が何でもやりたい舞台でした。

結局、私がやるかやらないか、返事をする前に、私を代役に立てるのは効率的ではないと判断され、他のソリストがやることになりました。

しかし、ここで黙ってあきらめてはいけないことはこの国が教えてくれました。 ちょっと強引とは思いましたが、ルーマニアに戻ってすぐに、監督にのオフィスに交渉に行きました。
内容は、「一度は私を主演に考えてくれたことを感謝します。次のジゼルは私にやらせてください。」です。監督は、それは君が提案することじゃないだろう・・って顔をしていましたが、ここで怯むと恥をかいて終わるだけと思い、ひたすらお願いしました。

数日後、5月、6月の公演スケジュールとキャストが掲示板に張り出され、6月の今シーズン最後のジゼルに私の名前がありました。かなり無理やりだったけど、自分のことをあまり評価してなかった新監督の元で今までよりも大きな役が出来ることは本当にうれしいです。無理と思われる交渉事も、強い気持ちがあれば変えられるチャンスはあるんだなと思いました。

そして、今週はいよいよバレエ団が気合を入れているドンキホーテの再演です。
プラハから振付家を呼び、3月の多忙スケジュールのなかリハーサルしてきました。
今週は、スタジオでの合同練習後、衣装やセット、オーケストラとの舞台リハーサルです。 初日のチケットは完売、見に来てくださる方々をがっかりさせる作品になってはいけません。

でも、気になることが一つ。
それは、プラハから呼ばれた振付家とダンサー達との関係です。 前回その振付家がバレエ団を訪れたときは3月の半ば、みんな目の前の舞台に追われ、4月末の舞台には集中する余裕がないときでした。 しかし、そんなことはドンキホーテの舞台を仕上げる為だけに数日間訪れた振付家には関係のないことです。彼は普段ホームのプラハでやっている通りのリハーサルを私たちに求めました。

でも私たちダンサーは疲れ切ってしまっていて、振り付けをなぞるのが精一杯で彼が言うように全力でやることはできませんでした。
その振付家は、「私たちダンサーは全然やる気がない、これでは舞台は良いできになるわけがない。でもこれは私の責任ではなく、君たちがダメだからだ」というスピーチを・・・・すでに振り付け2日目でしてしまい、それ以降関係は険悪になってしまい、そのまま彼はプラハへ一旦戻ることに。


「私たちの置かれている状況を理解するのもプロの振付師のキャパシティだ」、「あの振付家はリハーサルの仕方がまるで効率的ではない、素人みたいだ」、「無能だ」いろんな声を聞きます。 ダンサーたちの言い分は私も同じ立場なのでよくわかります。

でもこのままでは、今週彼が戻ってきたときにお互いに嫌な思いをするだけです。

もし私が振付家として全く知らない国に招待されて、この作品を仕上げてくれと頼まれたら・・・
きっと自分の容量を超えた仕事に戸惑い、もっと悪い状況を作ってしまうんじゃないかなと思います。
もし自分が同じ立場だったら、それ以上のことができるか?
絶対に人を不快にさせる言動をとらないか?と問えばそんなに簡単に人のことを見下したりは出来ないと思うので、文句を言っていたダンサー達に「そうだね」と心から頷いていたことに反省します。

もちろん、その仕事を振付家として引き受けた責任はあるので、うまくやっていく努力はするべきです。でも、私たちも、嫌だと思っているところをちゃんと伝えて状況を改善する行動もとらず、陰口や嫌な態度をとっているだけでは歩み寄りは絶対ないと思います。

見るべき点は、その振付家がこの作品を仕上げる為にどれだけ頑張っているかであり、彼が自分たちに言ったことが快か不快だったかでその人を無能と判断することは間違っていると思いました。

その人がなんの為に頑張っているかを理解しようとせずに評価だけしようとすることは間違ってもするべきじゃないと思うので次から気を付けないと・・って思います。

2012年3月28日水曜日

一段落

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振り返ってみれば12月から、連休もなく気が付けばもう4月。

やっと、、やっと3月のMostハードMonthを乗り越えました。
でも、Corinaという人生で初めて、この人のように踊りたい・・という目標をもてるような人を見つけ、身近でその人の言葉を聞き、いろいろなことを教わりながらひと月はあっという間でした。
3月締めの舞台は海賊でした。幸運にもリハーサルを担当するのはCorina。私がこのバレエ団に入って最初でおそらく最後の彼女とのリハーサルでした。




今回のオダリスクという役は初役で4回しかリハーサルがなかったのですが、すごく良い経験でした。
これは彼女とのリハーサルで実感したことですが、よいダンサーが育つかは、もちろん本人の意識が一番大事だけど、同じぐらい大事な要素は、よい指導者と出会えるかだと思います。
私が今まで出会ってきたバレエミストレスやマスターは、もちろんみんなプロとして踊ってきた人達なので、客観的にみてすべて正しいことを言います。踊りのアクセントのつけ方、技術的に修正すべき点、場所どりなど、私がやって上手くいかないところは教えてくれます。

でもcorinaはそれだけではありませんでした。私自身のこともよく観察し、私がこれから成長していくにはまず何を克服して何をやるべきかと言うことを自分の過去の経験から引出し考えてくれました。

私が今どんなことで引っかかっているかということを推測し、その答えはこうじゃない?と提案してくれる。
そういった私の踊りの出来だけをみるのではなく私自身に一歩歩み寄るという配慮が他のマスターやミストレスとは違い、自分でも信じられないほど、1回1回のリハーサルで成果が見え、嬉しくなりました。
「ここはこうだからこうしなさい」と決して自分のやり方を押し付けたりせず、ダンサーが求めているものや悩んでいることを考えて、与えようとしてくれる。
言い換えれば、自分のことをよく観察して理解しようとしてくれるよい理解者=よい指導者。なんだと思います。
これって、私生活でも同じですね。
自分の伝えたいこと、どうしたら相手がよりわかってくれるかは相手の立場や状況に応じて少し工夫すればうまくいったのにってこと多いような。。。

2012年3月21日水曜日

質問の答え

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大変だった3月の舞台も残すところ明日のバランシンと土曜日の海賊の2つです。

今月は本当にみんなハードなスケジュール、よくこなしたなと思います。

土曜日の海賊が終われば1週間休みをもらってアメリカに行きます。
自分のバレエのキャリアをアメリカで終えることは長年考えていたことで、それにだんだん近づいていると思うと、まだまだこんな自分では終われないなと思います。
そんな風に強く思ったのも、先月、バレエ団のプリマ、Corinaのアンナカレーニナを観て以来です。彼女の踊りを観て自分に決定的に足りないものが見えた気がします。

でもそれをどうしても彼女の口から聞きたくて「どうしたらそんな風に踊れるの?」と質問しようと機会を伺っていました。

先日やっと彼女と2人で話すことができ、たくさんアドヴァイスをもらいました。
やっぱり、彼女の答えは明確で的確でした。
今までバレエに費やしてきた時間が計り知れないんだと、彼女の答えを聞いただけで察することができました。だから、私の曖昧な質問にも迷いなくズバッと答えられるんですね。

彼女の答えを私なりに消化して、忘れないうちにまた書きたいと思います。























まずは今週を無事に終わらせることに集中します。

2012年3月14日水曜日

次の国

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今月はこの1年で一番忙しい月です。
ジゼル、バヤデール、海賊、眠り、バランシン、とハードな作品が立て続けに入ってる上、4月に新バージョンのドンキホーテを(振り付け、衣装を)プラハ国立劇場から買い上演予定・・。
私たちも今週は毎日3つ以上のリハーサルが入り、ちょっと今月を乗り切ることができるか心配です。

あまりにも毎日がハードすぎて怪我人が続出、その穴を残っているダンサーで埋めなければならないのでさらにスケジュールがハードになり、結果さらに怪我人が増える悪循環。

主役やソロを踊るダンサーが相次いで疲労骨折や靭帯損傷、肉離れなどを踊ることが出来ない状態になり、今週のジゼルとバヤデールは誰がどの代役をつとめるのかで盛り上がりそうです。。
少しスケジュールを見直す必要があるのでは?との声も出ています。

ONBのスケジュール。普段は3つのスタジオでアンサンブル、ソリスト、プリンシパルとそれぞれのリハーサルを11時半から14時途中休みを挟んで18時から20時まで。舞台は週2回、木曜日と日曜日。毎週月曜日は休みです。





この月を乗り越えれたら以後どのバレエ団に行ってもやっていけそうな気がします。


深刻な「ダンサー不足」を回避するためこの3月末にまたオープンオーディションを決行するようです。



この張り紙を見たときは、「また去年同様一緒にオーディションに参加させられる・・!!」とハッとしましたが、今回は外部の希望者のみらしく安心しました・・・。

オーディションは何度となく経験しましたがやっぱり好きにはなれません。
でも私もこの4月バレエ人生最後のオーディションに挑むことを決めました。目標はアメリカ。

来シーズンはアメリカのバレエ団に移籍したいと思います。残り数か月、きっとこの月も、来月もこのバレエ団から学ぶことは山のようにあることと思います。
次の国に経験を活かせるように、舞台も練習も頑張ります。

2012年3月1日木曜日

Amici 2

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1月の末にイタリアのTVShow「Amici]のデモストレーターのオーディションにローマまで行ったことを書きました。
ONBからは4人、そのオーディションに招待されましたが、残念ながら4人ともデモストレーターではなくてスチューデントなら・・という結果でした。しかし、そのうちの一人がデモストレーターではなくスチューデントとして残ることを決めました。
スチューデントというのはデモストレーターと違い、その他のオーディションから選抜されたスチューデントとトーナメント戦で踊りを競い、勝ち残っていかなければなりません。バレエだけではなくジャズやタンゴ、コンテンポラリーダンスと多くのジャンルで競い審査員やオーディエンスから時には辛口の評価をもらいます。

彼は私がこのバレエ団で初めて踊った時のパートナーで、その後もバランシンのセレナーデを踊るときはいつもパートナーでした。

何か月にも及ぶ収録は大変だろうけど、負けないで最後まで残ってほしいです!!

TVShow「Amici]

2012年2月29日水曜日

どうしたらそんな風に踊れるの?

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先週の木曜日、自分でも信じられないような体験をしました。

おそらくルーマニア出身で最も有名なバレリーナはアリーナ・コジョカルさんです。彼女は現在ロイヤルバレエのプリンシパルで日本にも何度となくゲストで来日されています。
私がロイヤルに留学していた時、彼女の舞台を何度となく観て本当に憧れ、こんな風に舞台上ですごく自然体でいて人を感動させられるダンサーって見たことない。と感動しました。

そのアリーナコジョカルさんと並ぶほどの素晴らしいダンサーがこのバレエ団にいる。と私が聞いたのは1年以上も前の話です。いつか彼女の舞台を観てみたい。と思っていたのですが、先シーズン、彼女は一度も舞台に立たず、今シーズンになってからも12月まで1度も機会はありませんでした。

もちろんバレエは誰かと誰かを比べてどっちが上だとか、、そういうものではありません。
でも、コジョカルぐらい、、人によってはコジョカルよりも素晴らしいってバレエ団のみんなが口を揃えて言いたくなる訳が先週の舞台で、実際彼女を目の当たりにしてわかったのです。

彼女はこのバレエ団のプリンシパル。一児の母で年齢は40歳前後なので今は第一線で踊っていません。
やっと彼女の舞台を観れる時が来た。と楽しみにしていました。

でも正直に言って、1年以上舞台に立っていないとなると、いくらみんなが素晴らしいって称えるダンサーでも・・・・・・という想いがありました。

自分が毎日トレーニングやリハーサルを積み、数多くの舞台に立っているにも関わらず「良くできた」と言う日がないからこそ、そのブランクが気になりました。それだけ舞台に立って観客の目を捉えることって難しいと感じるからです。

でも、本当に本当にものすごいものを観ました。客席にいてこんな体験をしたのは初めてです。

彼女が一歩舞台に現れた瞬間から瞬きも忘れるぐらい、他のダンサーは見えなくなるぐらい、圧倒されました。「きれい」とか「すごい」とか「上手い」とかそんな言葉が失礼なほど。
彼女の存在感は観ている人を巻き込みます。

上手く表現できない自分の文才の無さがもどかしいですが、私は舞台を観るとどうしても、「今のステップ難しいのに上体も軽やかですごい」とか「このステップからのこの回転は難しい」とか観ながら頭で考えてしまいます。
でも今回、彼女が舞台に現れて最後姿が見えなくなるまでそんなことは一切浮かびもしませんでした。

こんなことは初めてでした。
彼女をただ席に座って観ているんじゃなくて、巻き込まれてる感じがしたので、冷静にそんなこと考えてる場合じゃなかったんだと思います。。

なんでこんな風に人を圧倒させることができるんだろう。と私なりに考えてみたんですが、
それは彼女の心というか「気」が踊りを通して異常なほど伝わってきたから。
その役柄に対する解釈や、想いが怖いほど伝わってきたからだと思います。

私たちが普段しているハードなトレーニングは、あくまでも彼女のように表現する手段を磨くため。
私にはその普段のトレーニングを舞台上で表現力として応用する力が欠けているから「イマイチ・・」と思う舞台ばかりなんだとと改めて感じました。

私のバレエに対する概念を思いっ切り覆すというか、、違う次元に引き上げてくれる体験でした。

周囲にそんな人がいることって長い人生でも、ものすごく稀なことだと思います。

次彼女に会ったら率直に、「どうしたらそんな風に踊れるの?」って質問してみようと思います。