2012年4月23日月曜日

近況報告と気になること

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ちょっと日記を書いていないと思えば、もう1か月も経っていました。 この4週間でいろんなことがありました。本当に、20代後半になってこんなに濃い毎日を過ごせるのは、こんな仕事をしているからでしょうか。 楽しいと思えば、楽しい。辛いと思えばホームシックになります。

3月はたくさんの怪我人のため、残っている者は激務でした。その後1週間の休みをもらいアメリカへ行きました。 4月にもまだまだ舞台はあり、ダンサー不足の状況は変わっていなかったので、1週間も空けるのは心苦しかったですが、、2か月前からの楽しみだったので・・・行かせてもらいました。




この休みのおかげで理想のカンパニーとも出会えることができ体験してくることもできました。

しかし、アメリカ滞在中にONBの同僚から連絡が・・4月8日のジゼルの主役が怪我で踊れなくなったので、早めに戻ってきて踊れるか監督が聞いてる。と言うのです・・私がブカレストに戻るのは4月6日、リハーサルに参加できるのは7日からなので、どう考えても間に合いません・・。

でも、このシーズン、本拠地で一度も主演していなかった私にとっては、それは帰りの航空券を有料で変更してでも、時差ボケで寝不足でも、何が何でもやりたい舞台でした。

結局、私がやるかやらないか、返事をする前に、私を代役に立てるのは効率的ではないと判断され、他のソリストがやることになりました。

しかし、ここで黙ってあきらめてはいけないことはこの国が教えてくれました。 ちょっと強引とは思いましたが、ルーマニアに戻ってすぐに、監督にのオフィスに交渉に行きました。
内容は、「一度は私を主演に考えてくれたことを感謝します。次のジゼルは私にやらせてください。」です。監督は、それは君が提案することじゃないだろう・・って顔をしていましたが、ここで怯むと恥をかいて終わるだけと思い、ひたすらお願いしました。

数日後、5月、6月の公演スケジュールとキャストが掲示板に張り出され、6月の今シーズン最後のジゼルに私の名前がありました。かなり無理やりだったけど、自分のことをあまり評価してなかった新監督の元で今までよりも大きな役が出来ることは本当にうれしいです。無理と思われる交渉事も、強い気持ちがあれば変えられるチャンスはあるんだなと思いました。

そして、今週はいよいよバレエ団が気合を入れているドンキホーテの再演です。
プラハから振付家を呼び、3月の多忙スケジュールのなかリハーサルしてきました。
今週は、スタジオでの合同練習後、衣装やセット、オーケストラとの舞台リハーサルです。 初日のチケットは完売、見に来てくださる方々をがっかりさせる作品になってはいけません。

でも、気になることが一つ。
それは、プラハから呼ばれた振付家とダンサー達との関係です。 前回その振付家がバレエ団を訪れたときは3月の半ば、みんな目の前の舞台に追われ、4月末の舞台には集中する余裕がないときでした。 しかし、そんなことはドンキホーテの舞台を仕上げる為だけに数日間訪れた振付家には関係のないことです。彼は普段ホームのプラハでやっている通りのリハーサルを私たちに求めました。

でも私たちダンサーは疲れ切ってしまっていて、振り付けをなぞるのが精一杯で彼が言うように全力でやることはできませんでした。
その振付家は、「私たちダンサーは全然やる気がない、これでは舞台は良いできになるわけがない。でもこれは私の責任ではなく、君たちがダメだからだ」というスピーチを・・・・すでに振り付け2日目でしてしまい、それ以降関係は険悪になってしまい、そのまま彼はプラハへ一旦戻ることに。


「私たちの置かれている状況を理解するのもプロの振付師のキャパシティだ」、「あの振付家はリハーサルの仕方がまるで効率的ではない、素人みたいだ」、「無能だ」いろんな声を聞きます。 ダンサーたちの言い分は私も同じ立場なのでよくわかります。

でもこのままでは、今週彼が戻ってきたときにお互いに嫌な思いをするだけです。

もし私が振付家として全く知らない国に招待されて、この作品を仕上げてくれと頼まれたら・・・
きっと自分の容量を超えた仕事に戸惑い、もっと悪い状況を作ってしまうんじゃないかなと思います。
もし自分が同じ立場だったら、それ以上のことができるか?
絶対に人を不快にさせる言動をとらないか?と問えばそんなに簡単に人のことを見下したりは出来ないと思うので、文句を言っていたダンサー達に「そうだね」と心から頷いていたことに反省します。

もちろん、その仕事を振付家として引き受けた責任はあるので、うまくやっていく努力はするべきです。でも、私たちも、嫌だと思っているところをちゃんと伝えて状況を改善する行動もとらず、陰口や嫌な態度をとっているだけでは歩み寄りは絶対ないと思います。

見るべき点は、その振付家がこの作品を仕上げる為にどれだけ頑張っているかであり、彼が自分たちに言ったことが快か不快だったかでその人を無能と判断することは間違っていると思いました。

その人がなんの為に頑張っているかを理解しようとせずに評価だけしようとすることは間違ってもするべきじゃないと思うので次から気を付けないと・・って思います。

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